キクトーーーク!:杉浦強志さん(34歳) 美容室Riviera(リヴィエラ)経営

   

キクトーーーク!:杉浦強志さん(33歳) 美容室Riviera(リヴィエラ)経営 3

この業界って離職率が高いじゃないですか?

美容室ってどうしても主従関係っていうか、“師匠と弟子”みたいな関係があって、モノの言い方とかもけっこうキツイ方が多くて…。

今ちょうど話題の吉本興業じゃないですけど、パワハラみたいなことが原因で辞めていっちゃう人が多くて、そういうのってすごく勿体ないなって思ったんです。

言い方に気を付けるだけでも、そういうのが減っていくんじゃないかなって。

例えば、感情的にモノを言ったり、怒ったりっていう場面を今まで何回も見てきましたけど、それって何もメリットがないなって思うんです。

ただのストレス発散になってるだけだと思うし、そういう風潮みたいなのを変えていきたいなって思いますね。

あとは僕がちょっとひねくれてるのかもしれないですけど、嫌いな先輩の言うことはあんまり聞かずに、好きな先輩の言うことばっかり「はい!」って聞いてたんですね。

でもそれってけっこう当てはまる人多いんじゃないかなって。

だから上の人が言い方に気を付けて嫌われないようにすれば、下の子達も言うことを聞きやすいだろうし。

1回嫌われちゃうと壁ができちゃって、言うことも聞きたくなくなっちゃうだろうし、それだったら好かれる人になった方が良いんじゃないっていう。

言い方1つだと思うんですよね、“嫌いな上司”と“好きな上司”の分かれ目って。

だから僕はそこに気を付けるようにしたら、幸いなことにウチはみんな仲良くやってくれていて、離職も今のところは1人だけですね。

その辞めちゃった子はエステの方に行ったんですけど、元々エステがやりたかったんだけど美容師もかじりたいって感じで入ってきた子だったんで、ウチが嫌になって辞めたっていうわけじゃなくて、今でも2か月に1回くらいバイトしに来てくれたりするんですよ。

今度、会社で旅行に行くんですけど、そこにもついてきてくれる予定なんです(笑)。

まぁ離職が少ないのは、まだ独立してお店を出してから2年しか経ってないっていうのもあるんですけどね。

 

へぇ~。スタッフさんの求人は何か特別なことをしてるわけでもなく?

 

普通にリジョブとか使ってやってます。

 

採用の時のポイントっていうか、面接の時に「ここを見てる」みたいなのってありますか?

 

僕、実はあんまり人を見る目がないんですよ(笑)。

 

そうなんですか?(笑)

はははは(笑)。

 

みんな良い子に見えちゃうんですよ。

いつもウチのスタッフと一緒に面接してるんですけど、面接後に僕が「あの子いいじゃん!」とか言うと、スタッフから「え?大丈夫ですか?」って言われたりするんですよね(笑)。

西日暮里店の責任者とか副店長が「ん~ちょっと違うかな」って感じだったら採用しないですし、僕には主導権がないです(笑)。

 

一同笑。

 

でも、それで辞めない人達が入ってきてるって感じですかね?

 

辞めない人が入ってきてるっていう感じでもないんですよね。

現に、前のお店を1ヵ月で辞めちゃってるような子達が多いんですよウチ。

 

へぇぇぇ。

 

しかもけっこうな有名店を辞めてきてたりするんです。

普通の美容室だとなかなか長続きしないような子でも、ウチだと続けてくれてるって感じですね。

 

なるほど。そういう人達が続けていける環境とか組織作りが大事になってくると。

 

そうですそうです。

だからそこってブルーオーシャンだと思うんです。

周りのお店は厳しく育てていくスタンスのところが多いんですけど、ウチはそうじゃないやり方で。

だから逆に、スタイリストの人達の方が戸惑っちゃうことが多いんです。

 

あーーー、今まで厳しく育てていくのが当たり前な環境でやってきたからってことですかね?自分自身も含めて。

 

そうそうそうそう。

今までの環境と全然違うんで。

例えば、スタイリストがアシスタントに対してちょっと注意する時でも、言い方がキツイなって僕が感じたらすぐに言っちゃうんですよ「ちょっと今の言い方キツくない?」って。

で、スタイリストの子に「えーっ!?今のでですか?」って言われたり。

逆もしかりで、スタイリストの子が優しく丁寧に注意してるのに、アシスタントの子がそれに対して「それちょっと違うんじゃないですか?」とか言ったりすることもあるので、そこは僕も「いやいやいやいや、その言い方はないでしょ…」ってなるじゃないですか?

なので、そこは両方とも言い方には気を付けるように指導してます。

だからウチってそこがけっこう特殊なので、スタイリストの中途はあんまり採らないです。

アシスタントだけ採って、そこから教育をしていった方がいいかなって。

 

なるほど。そんな感じだと中途のスタイリストさんだと今までと環境が違いすぎて、入ってからギクシャクしちゃったりしそうですもんね。

 

そうですそうです。

その辺のバランスが難しいです。

あとウチ、スタッフからの紹介がムチャクチャ多いです。

半分くらい紹介なんじゃないかな。

 

あ~、そっちの方にも繋がってきてるってことなんですね。

スタッフ教育としては主にその辺りに力を入れてる感じってことですかね?

 

そうですね。

社是っていうのを作った理由も、何か尺度みたいなものがあった方が言いやすいんですよね。

例えば、どっちの意見も正しい時ってあるじゃないですか?

アシスタントがスタイリストに対して「なんで掃除しないんですか?私一人だけ掃除やって…」とか。

それってパッと聞いたら正しい言い分じゃないですか?

ただし、僕からするとそれって言い方が間違ってるんですね。

だって“私一人”って自分ばっかり、自分が被害者みたいに言ってるじゃないですか。

もちろんスタイリストはスタイリストでやることがあるわけだし、理想の言い方としては「お店をもう少し綺麗にしたいんで、みんなで綺麗にしていきませんか?」って感じで言えばオールOKだと思うんです。

最初の言い方だと無駄に敵を作っちゃうというか…。

そういう時に「その言い方って“人から好かれる”言い方だったの?」っていう風に注意もできるんですよ、“人に好かれる人になる”っていう社是があると。

 

あーーー。

あぁぁぁ。

 

スタイリストもそのままアシスタントに対して「俺だってやる事がいろいろあるんだよ」なんて返しちゃうと、それもそれで売り言葉に買い言葉で“人から好かれる言い方”ではないので、根本はもちろんアシスタントの言い方が悪いんですけど、スタイリストも「みんなで掃除するべきだったね」っていう風な言い方をすると、アシスタントも「ありがとうございます」とかいう風になるし、“人から好かれる人”になれるんじゃないかなと。

そういう基準となるモノが欲しかったから、自分でもちょっと恥ずかしくなるような言葉ですけど、“人に好かれる人になる”っていうのを社是に取り入れてるって感じですね。

 

なるほどなるほど。

それじゃあ次の質問なんですけど、美容師の仕事で大変だなって感じることは何ですか?

 

僕の経験上だと、やっぱりアシスタントの頃の練習が大変でしたね。

昔って師匠がいて、アシスタントが「これどうですか?」って見せても、師匠が「ダメだ!」って感じでなかなか認められずに上がっていくのが大変だったなと。

でも今ってどっちかっていうと、こっちからコミットしていかなきゃいけないんで、ライザップじゃないですけど。

昔だと「見て覚えろ!」って感じでしたけど、今だと「これをこうして、こうだからこうなるんだよ」っていう感じで教えていかなくちゃいけないので、スタイリストの方が大変かもしれないですね今(笑)。

 

そうですよね。すごくわかります。私も一から手取足取り教えてもらってきたわけじゃないので、後輩に対して何て言ってあげれば良いのか、どんな風に教えてあげれば良いのかわからないことも多くて…けっこう悩んでます。

トーーーク!:杉浦強志さん(33歳) 美容室Riviera(リヴィエラ)経営 4

ですよね(笑)。

そういう意味では昔より今のアシスタントの方が楽なのかなって思うこともあります。

 

羨ましいですもん。一から手取足取り教えてもらえるなんて。

 

そういう時代でしたもんね僕たちの頃って(笑)。

 

そうですよね(笑)。それじゃあ次の質問ですけど、仕事での失敗談とかってありますか?

 

失敗したこと…ないんじゃないかな…?

しいて言うなら、モヒカンにしちゃったことくらいですかね?

 

何ですかそれ?(笑)

 

一同笑。

 

一番最初のサロンってあんまり男性が来なかったんですよ。

で、ある日(男の)友達が髪の毛を切りに来てくれたんですよ、ツーブロックにしたいって。

今でこそ一般的ですけど、その頃ツーブロックって全然流行ってなかったじゃないですか?

そんなのやったこともないし全然よくわからなかったんですけど、とりあえずやってみようと思って、真ん中4センチくらいを残して全部刈り込んだんですよ。

 

だいぶ細めに残しましたね(笑)。

 

一同笑。

 

そうしたら先輩に呼ばれて、「何してんのアレ?」って(笑)。

「いや、ツーブロックっす!」って言ったら、先輩に「ヤバくない?ゴム外してみ」って言われて、髪の毛を結んで束ねてたゴムを取ったら、パサッて髪の毛がかぶさってきて、スイカの模様みたいになっちゃって(笑)

 

一同笑。

 

さすがに僕も「エーッ!?」ってなって(笑)。

その友達も「これ違くない!?」って(笑)。

結局、最後は坊主にしちゃいましたけど。

あ、あと、川崎駅で怒鳴られたこともありましたね。

当時、モデルハントしてたんですけど、川崎駅って改札が1個しかないんですよ。

行ったことあります?

 

行ったことあります。

ありますあります。

 

で、その時は改札周辺に300人くらいは通行人とかがいたと思うんですけど、身なりもできるだけちゃんとしようと思ってジャケットを着て名刺を渡してたら、「しつこーーーい!」って怒鳴られちゃって(笑)。

 

ええええ!?

 

女の人に。

ホストだと思われたみたいで。

そしたらその場にいた300人くらいの人達が一斉にこっちを向いたんですよ。

僕もビックリしちゃって「エーッ!?」って感じで(笑)。

 

一同笑。

 

で、すぐに駅員さんが飛び出てきて、「お前ちょっと来い」みたいな(笑)。

 

えっ!?

 

駅員さんに「何してたんですか?」って言われて。

「モデルハントを…」って言ったら、「あんな所でやらないでください!」ってめっちゃ怒られて。

それから近所の美容室全部に駅校内でモデルハントとか絶対にやらないようにっていう通達がいっちゃって。

このくらいですかね、失敗っていうのは(笑)。

 

なかなか大きいのがきましたね(笑)。

それじゃあ次の質問なんですけど、この仕事をしていて良かったと思える瞬間や嬉しいって思う瞬間ってどんな時ですか?

 

プレイヤーとしては売り上げが上がってきたり、お客様が自分目当てで来てくれたりすることが単純に嬉しいですね。

以前に勤めていた銀座の美容室って毎月ランキングを出してたりだとか、他の店舗も合わせた全店舗総合の年間ランキングで10位以内に入ると表彰されるんですけど、それで表彰された時も嬉しかったですね。

でも自分でお店を経営するようになってからは、スタッフが辞めないでいてくれてるのも嬉しいですし、あとこの前スタッフがインスタに上げてくれてたのを見たんですけど、「こんなにスタッフみんなが仲良いお店ってなかなかないよね」っていうような投稿も嬉しかったですし。

 

今後、更に店舗展開していったりっていうのは考えてますか?

 

ん~、席数が足りなくなってきたらって感じですかね。

スタイリストが増えても売り上げが上がらない理由って席数だと思うんですよ。

席数が少ないからリピート率が低くて、ずっと同じような数字になっちゃうっていう…。

だからそこを改善する必要性が出てきたら出店するしかないので。

 

それじゃあそろそろ最後の質問にしようと思うんですけど、最後にこれから独立しようかなと考えてる美容師さんに向けて何かアドバイスとかありますか?

 

う~ん…何かあるかな…?

そうですね…固定費を甘く見ない方が良いかなって感じですかね。

変えられないんで、どんなにキツくても。

銀座にでもお店を出そうもんなら、けっこうな覚悟が必要だと思います。

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今回インタビューさせていただいた杉浦強志さんが経営されている、美容室Riviera(リヴィエラ)のホームページと電話番号、杉浦強志さんの指名予約はコチラ⇓

ホームページ
https://www.riviera-hairsalon.com/

電話番号
・西日暮里店
03-5615-2281
・上野御徒町店
03-5826-8085

杉浦強志さん指名WEB予約(上野御徒町店のみ)
https://beauty.hotpepper.jp/CSP/bt/reserve/?storeId=H000418827&stylistId=T000499864&ch=5

 

今回も杉浦さんの人柄やお気づかいのおかげで最初から最後まで笑の絶えない楽しいインタビューとなり、貴重で有意義な時間を過ごさせていただきましたこと、本当にありがとうございました。

「人に好かれる人になる」という言葉を地で行く杉浦さんの雰囲気や立ち振る舞いにただただ感心するばかりで、今後の動向がとても気になる要注目のサロンであることは間違いありません。

それでは今回のキクトーーーク!はこの辺でお別れとなりますが、次回のインタビューリレーのバトンは誰に回ってくるのか、ぜひともご期待ください!

 

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